1.ゲシュタルト療法とは何か

ゲシュタルト療法は、他者との、あるいはコミュニティでの、そして環境全般とのコンタクト(接触)を改善するというゴールをもった、プロセス的、関係的(relational)心理療法です。
ゲシュタルトセラピーは、内省よりもクライエントの動的な気づきを強調した、活動的な援助の方法です。
それは、クライエントの病気や病理よりも成長により焦点を当てている点で、核心的かつユニークです。私たちが焦点を当てるのは、現在進行中の、そしてライフサイクル全てを通しての成長、成熟における創造的調整(creative adjustment )とその促進です。ゲシュタルトはドイツ語で「良い形(good form)」あるいは「豊かな全体性(plump wholeness)」という意味です。
私たちが目指すところは、環境の中にいる生体機能(organismic function)としての気づきを高めることです。ゲシュタルトセラピストのトレーニングは、気づきや創造性を妨げるものに焦点を当てます。妨げるものを取り除き、自分の“自我”をクライエントと向き合うための道具として活用する道を拓くために、ゲシュタルトセラピストのための個人セラピーは不可欠と考えられています。

(アンセル・ウォルト Ansel Woldt Ed.D)

 

2.ゲシュタルト療法の理論とアプローチ

ゲシュタルト療法は、精神分析医フレデリック・S・パールズ(Frederick S.Perls.)とゲシュタルト心理学者であった妻のローラ・パールズ(Laura Perls.)、ポール・グッドマン(Paul Goodman)らによって創られた心理療法です。パールズは彼の著『ゲシュタルト療法-その理論と実際-』で、ゲシュタルト療法は「いま―ここ」中心のセラピーである、と表現しています。
ゲシュタルト療法は、人間は外部の世界をバラバラな寄せ集めとして認識するのではなく、意味のある一つのまとまった全体像(ゲシュタルト)として構成し、認識するというゲシュタルト心理学の視点を基本概念にしています。ゲシュタルト療法の創始者であるF.S.パールズが影響を受けたのはフロイトの精神分析、ゲシュタルト心理学、実存主義、現象学と東洋の禅です。

~「気づき」のアプローチとは~

ゲシュタルトのアプローチとは、気づきを通して本来の自分を取り戻し、自己成長を促すことを目的としています。

気づきの3つの領域

人間がたえず心理的成長をするためには「気づき(自覚する)=アウエアネス」ということが大切な基本的アプローチとなってきます。パールズによれば、個人は3つの自覚の領域を持っています。ひとつは<自己の自覚>の領域です。これを内部領域の気づきと呼びます。二つ目は<中間の自覚>です。これを中間領域の気づきと呼びます。そして3つ目の気づきの領域は<世界の自覚>の領域です。これを外部領域の気づきと呼びます。

内部領域の気づき

内部領域の気づきとは、簡単に言えば「からだ」の気づきのことです。生命体は生きていくために自己のからだが必要なことに気づきます。例えば、水分が不足すると「水が欲しい」ことに気づき、酸素が足りなくなると「息苦しい」ことに気づき、また心や気持ちも同じです。私は「喜び」「怒り」、「悲しみ」、を感じていることに気づきます。
私たちの「からだ」は体と精神を分離しません。心にストレス感じている時は身体の筋肉も緊張します。逆に身体を硬くしていて「心だけリラックス」することは出来ません。心と体は一つだからです。

中間領域の気づき

中間領域の気づきは知的知識、思考世界の気づきのことです。人は進化の過程で脳の機能を飛躍的に発達させてきました。特に考えることが出来る動物となりました。思考プロセスは物事を善か悪か判断したり、合理的に判断したり、客観的に考えることに役立ちます。また過去の記憶を思い出したり未来のことについて想像することも出来ます。
しかし、現代人は知識に頼りすぎて自己を見失ってしまう傾向もあります。そのために3つの気づきの領域のバランスが大切になってきました。

外部領域の気づき

外部領域の気づきとは現実の世界にコンタクトすることです。内部領域で「空腹である」ことに気づき、中間領域の思考で「お昼を食べたい」と想像しても飢えは満たされません。現実に自己の5感覚(視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚)を使って食べ物(あるいはお店やスーパー)を見つけ、料理(あるい店に入って)を作り、口に入れて飲み込まないと空腹は満たされないのです。

(百武 正嗣)

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